明神智和が分析するパリ五輪「日本が本気でメダルを目指すのであれば、OAの力は必要」 (2ページ目)
大岩さんが講演に来てくださって、その講習会の期間中にU-23代表の合宿もあったので、講習会の一環として練習も見せてもらって、練習後に大岩さんにいろいろ話も聞けましたし、ものすごく勉強させてもらいました。
大岩さんは、監督としてオーラがありますよね。オーラって言うと抽象的かもしれませんが、でも監督にとっては大事な要素だと思っています。何事にも動じないというか、動じているのかもしれないけど、それを見せない。そういう強さをものすごく感じます」
今年、日本はU23アジアカップで優勝を遂げ、パリ五輪出場(大会上位3カ国)を決めたが、明神が出場したシドニー五輪当時のアジア最終予選は? というと、カザフスタン、タイとの3カ国総当たりのホームアンドアウエー方式。グループ1位が本大会への出場権を獲得するというものだった。
予選方式も、その開催期間も、24年前と現在とでは、まったく異なるものになっているのである。
「(現行方式だと)失敗が許されないですし、一発のミスが取り返しのつかないことになりますから、怖いと思います。そのプレッシャーはもう......、昔とはまったく違うと言ってもいいくらいの大きさだったと思います。
僕らのときは、たとえひとつ負けたとしても巻き返す時間とチャンスがありましたけど、今の方式だと(準々決勝で)負けてしまうとチャンスがない。そこを勝っていくのは、本当に力があるチームじゃないとできない。でも、だからこそ、そのプレッシャーをはねのけてオリンピック出場を勝ち取ったというのは、ものすごく大きなことだと思います。
U23アジアカップを見ていて一番感じたのは、今のサッカーはタフに戦える選手じゃないと世界とは戦えないんだな、ということ。大岩さんのチームからは、それをひしひしと感じます。誰ひとりサボることなく、全員が最後まで戦えるし、走れる。そこはもう当たり前の基準として求められているんだろうな、と感じるチームですね」
アジアの厳しい戦いを勝ち上がり、見事にパリ行きの切符を手にしたU-23代表だが、実際にパリへ行ける登録メンバーは18人。U23アジアカップからは5人減となるうえ、オーバーエイジ(OA)枠の選手が入ってくるとなると、さらに狭き門となる。
「いろんな考え方があると思うので、OAは難しいですね。自分たちのときもそうでしたけど、23歳以下の選手にしてみれば、『OAの力を借りなくても、オレらだけでやれるよ!』って思うだろうし。
それに僕らのときは、豊富な経験も含めてヒデさん(中田英寿)がOAみたいなものでしたからね。(年齢的には)OAではないけれど、もう僕らの想像を超えるぐらいのものを練習から見せていましたし。
でも、自分たちのときのことを改めて振り返ると、プレーの部分ではもちろん、オフザピッチのところでも、グループをまとめるというか、そういうところまで余裕を持って見ることができるOAの存在はやっぱり大きかった。非常に難しい判断ですけど、日本が本気でメダルを目指すのであれば、OAの力は必要だと思います。
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