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山本昌邦が森保ジャパンに望むこと。「大事なのはいい選手を集めるより、結束力」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 アンダーカテゴリーの選手たちと接するなかで、山本は2002年当時の話をすることもあるという。

「2002年に日本でワールドカップがあったことを、今の子どもたちは知りませんからね。なので映像を見せて、『こういう時代もあったんだよ』と(苦笑)。『2002年当時の選手たちは、U-20で世界2位になったことがある。それを超えるには優勝しかない。おまえたちがその上に行って歴史を変えろ』。そんな話をいつもしています。

 やっぱりA代表がワールドカップで勝つためには、修羅場をくぐっている選手をどれだけ増やすか。その経験値を上げるためにも、育成で成果を出すしかない。

 そういう意味では、2002年に初めて決勝トーナメントに進出できたのも育成という土台があってこそだったので、その歴史はずっと生かされ続けていると思います」

 いよいよ今年11月には、日本にとっては7大会連続7度目の出場となるワールドカップが開かれる。山本は「今回のワールドカップは、今の日本の本当の力を試す絶好の機会」と語り、森保一監督率いる日本代表に期待を寄せる。

「大事なのはいい選手を集めることよりも、結束力のあるチームにすること。そうすることで、チームは何倍もの力を発揮しますから。『ドーハの悲劇』を選手として経験した日本人監督が、チームをどうマネージメントして、一体化させていくのか、楽しみにしています」

 過去にワールドカップで指揮を執った日本人監督は、岡田武史と西野のふたりだけ。だが、いずれもチームをベスト16進出に導いている。

 まして、「岡田監督と西野監督は途中からの"ピンチヒッター"でしたが、森保監督は最初からやってきた」だけに、山本の期待は思い入れとともに一層膨らむ。

「森保監督は、U-20代表コーチとして(2007年U-20ワールドカップで)世界大会ベスト16の経験があるし、サンフレッチェ広島の監督としてはJ1で3度も優勝している。それだけの十分な経験があって、その経験の先に今があるのだから、堂々と胸を張ってやってほしいし、僕らは森保監督を信じるだけだと思っています」

(文中敬称略/おわり)

山本昌邦(やまもと・まさくに)
1958年4月4日生まれ。静岡県出身。国士舘大学卒業後、JSLのヤマハ発動機(ジュビロ磐田の前身)入り。DFとして奮闘した。29歳の若さで現役を引退。指導者の道に進んだ。とりわけ、協会のナショナルコーチングスタッフとして手腕を発揮。U-20代表のコーチ(1995年、1999年U-20W杯※当時ワールドユース)、監督(1997年U-20W杯)、五輪代表のコーチ(1996年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪)、監督(2004年アテネ五輪)、A代表のコーチ(2002年W杯)を歴任。すべての世界大会に出場という、輝かしい成績を残した。現在は、指導者、解説者として奔走。

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