オシムが語るハリル解任「腐ったリンゴの排除か、監督交代しかない」 (3ページ目)

  • ズドラフコ・レイチ●文 text by Zdravko Reic 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 西野朗新監督のもとで、日本代表はきっと落ち着いた空気を取り戻すことができるだろう。代表において一番重要なのは、チームが一致団結していることだ。不満を持つ選手たちを監督が納得させることができなければ、チームは簡単に崩壊してしまう。

 大切なのはチームのスピリットである。選手たちは仲がよく、監督をリスペクトして、その決定を受け入れる必要がある。代表監督の何よりも大切な仕事とは、チームに安定した環境を与えることだ。毎日顔を突き合わせるクラブチームの監督とは仕事の内容からして違う。

 かつてイングランドのリオ・ファーディナンドは言っていた。

「私がいた頃のイングランド代表は、ルーニー、ジェラード、ランパードと多くの優秀な選手がそろったすばらしいチームだった。しかし、代表戦の前に数日をともにするだけで、息の合ったチームとは言えなかった。我々の仲は悪くはなかったが、かといって友達でもなかった。そのため、どんなにチームの潜在能力が高くとも、いい結果を残すことはできなかった」

 もうひとつ、私が代表チームで大事だと思うのは、選手たちが皆それぞれのクラブチームでレギュラーとしてプレーしていることだ。シーズン中、ほぼ毎試合に出場していなければ、代表に入る資格はない。私も代表監督時代は"稼働中"の選手にこだわっていた。

 ロシアW杯では、正直、日本はかなり苦労すると思う。日本が入ったのは、"本命なき"ハードなグループだ。だからこそ、自信を持ってプレーすることがより重要となってくる。まずは守りを固くし、パワーとスピードで縦への攻撃のチャンスをうかがう。簡単なことではないが、不可能なことでもないはずだ。

「私は暑さに耐えられないタイプ」というオシムは、この後、クロアチアの海沿いの町にある別荘でしばらく過ごした後、サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の我が家でW杯を観戦するという。


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