ガチンコで強豪メキシコを撃破。W杯に挑むU-17日本代表の完成度 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 あまりに低調な試合内容に、森山監督は「このまま終われない」と、後半開始から一気に4選手を交代投入。そのひとり、平川が「(長く)選ばれている選手は違いを見せないといけない。前半の不甲斐ない内容に、後半から入った選手はその気持ちが強かったと思う」と語っていたように、この交代をきっかけに、試合展開は一変した。

 このチームのサッカーをよく理解している選手がピッチ上に増えたことで、本来のリズムを取り戻したU-17日本代表は、ワンタッチをまじえながら、テンポよくボールを動かし、タイミングのいい縦パスで相手DFラインの背後を突く。そんな攻撃を45分間続け、大量4ゴールを加えて勝負を決めた。

 後半に入り、展開が大きく好転した試合を振り返り、「選手同士が共有するものがないなかで、サッカーをするのは簡単なことではない。選手をガラッと変えても反応がないこともある」と、まずは選手交代によって立ち直ったチームを称賛した森山監督。だが、その一方で「11人(主力選手)のレベルは上がっているが、その下(控え選手)とのレベル差はだいぶある」とも指摘する。

 7試合を戦う――。

 これこそが、来るU-17W杯へ向け、このチームが掲げている目標である。「7試合を戦う」とはすなわち、最後まで勝ち残り、決勝(もしくは、3位決定戦)までを戦うということだ。

 しかし、国内での試合以上に心身両面での強度が求められる試合を、わずか1カ月の間で7試合も戦おうと思えば、選手層の厚さは必須。登録メンバー全21名での総力戦こそが、目標達成への最大にして唯一の武器となる。

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