リオ五輪女子サッカー決勝に見る。なでしこ「4年後のVロード」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 オウンゴールを引き寄せたのもマロジャン。いい位置で得たFKで、マロジャンの蹴り出した球は左ポストを強烈に直撃すると、反応したDFのクリアボールがそのままゴールに吸い込まれた。その後1点を返されるも、2-1で悲願のオリンピックチャンピオンとなった。

 身長で言えば、両者ともに引けは取らない。が、ドイツのパワーはコンタクトプレーの場面で際立つ。そして、そこから繰り出されるパスのスピードと重さは、ドイツの攻撃を底辺から支えていた。日本がそのままドイツのようなスタイルを用いることはできないが、こうした相手の動きをブレさせる体の使い方を習得することは、日本にとって最重要課題だ。

 また、若手育成が順調なドイツは、今大会でも25歳以下の選手が多く、世代融合がスムーズに行なわれている。次なる代表でもこの強さに陰りはないだろう。

 前回大会に引き続き、3位に入ったカナダはスター選手が揃っているわけではないが、シンプルなスタイルを着実に、最短で実践することができるチームだ。3位決定戦ではブラジルを相手に真っ向勝負を挑み、先手必勝を実行した。ここ数年は、2大会連続でオリンピックの銅メダルに値する成長を続けているが、ここからの方向性が難しいことも事実。指揮官の手腕が問われる4年になりそうだ。

 サッカー王国である地元観客から猛烈な後押しを受けていたのが開催国のブラジルだ。ブラジル女子サッカーの顔であるマルタを擁し、初の世界タイトルを視野に入れていた。グループリーグでは持ち前の攻撃力が爆発。8ゴールを叩き出し、決勝トーナメントへ上がってきたが、その攻撃力も勝ち上がってきた強豪たちの前に結果を出せず、無念の4位に沈んだ。

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