香川・遠藤の交代。ザッケローニが言う「計画通り」は本当か (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 梁川剛●写真 photo by Yanagawa Go

 本田投入には必然があった。そうしなければ、試合はあらぬ方向に進んでいきそうだった。

 もっとも香川のプレイはそれでも改善されなかった。本田がピッチに登場した後半、香川は従来の「3」の左に移ることになったが、彼はポジショニングを無視し、従来のようにひたすら1トップ下で構えた。本田、柿谷と濃い関係を築き、その結果、いつものようにチームに悪いバランスをもたらすことになった。

 本田不在の中、エースの立場で出場した前半も、準エースの立場で出場した後半も、非頭脳的なプレイに終始した香川。後半30分にはついに交代の憂き目にあった。

 ザッケローニは、続いて行なわれるガーナ戦(9月10日)を見据えての「計画通りの交代」と述べたが、まさにここが病巣、真っ先に改善すべきポイントだった。

 その4分後、主役のひとりである遠藤も青山敏弘と交代でピッチを後にした。そしてこれも、チームを活性化するために必要な交代に見えた。計画通りの交代というより、改善の必要を感じさせる交代だった。

 遠藤もよくなかった。よくないサッカーの流れの中にすっかり埋没。その流れを改善できぬままピッチを去ることになった。それはかなり情けない、力不足を露呈した姿と言えた。

「当初の計画通りの交代」といえば、事が順調に運んだような印象を受けるが、それを強調されると、逆に勘ぐりたくなる。遠藤の交代劇も、僕には決して穏やかなものには見えなかった。

 この試合の交替枠は6人で、青山は5人目の交代出場者だった。ザッケローニにはもう1人、交代のカードを切るチャンスが与えられていたわけだ。にもかかわらず、彼はこれを持って打ち止めにした。計画通りが本当なら、ザッケローニは交替枠を最初からフルに使わないことを決めていたわけだ。

 そのデメリットについて、ザッケローニは考えなかったのだろうか。サブの選手にとってこれは辛い仕打ちだ。人材発掘という観点からも大いに問題がある。機会をフルに使おうとしない代表監督の姿勢は、大いに責められるべきものになる。

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