【日本代表】フランス戦とブラジル戦。カギを握るのは本田、香川ではない (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 遠藤と今野はいわゆる国内組だ。ベテランではあるが、海外で真のアウェー戦を経験した機会は少ない。海外組が20人以上を数える中で、代表のキープレイヤーは国内組。これはいささか皮肉な構図だ。今回は、その国内での実績が試される場と言えるのかもしれない。

 遠藤の国際試合出場数はフランス戦で122を数える。井原正巳氏と並び日本歴代一位の座に就く。まさに祝福すべき試合になる。

 その一方で、年齢的、体力的な不安を抱えている。2014年6月まで持つのだろうかというのは、多くの人が抱いている疑問だが、フランス戦、ブラジル戦はその答えになると僕は思う。国内で積んだその経験を、両強豪に対しどこまで発揮できるか。祝福すべき試合ではあるが、試される試合でもある。

 ブラジル戦ではこれに加えてプレッシングがカギとなる。ブラジル人選手のボール操作術はフランス以上に高い。もちろん日本よりも高い。サイドを有効に使われれば、日本はボール支配率で著しく劣ることになる。低い位置でしかボールを奪えなければ(目指すべきゴールから遠い位置でしか奪えなければ)、防戦一方になる恐れがある。できるだけ高い位置でボールを奪い、相手の守備が整う前に攻めきる作戦にどこまで徹することができるか。

 それが決まれば、瞬間、チャンス到来とばかり、チームには計り知れない勢いが生まれる。逆にブラジルは焦り、慌てる。ショックは増幅され、パニックを誘発することになる。

 フランス戦に話を戻せば、アウェーでそれが決まれば、地元ファンで埋め尽くされるであろうスタンドは、大きな溜息に包まれることになる。ホームチームをまさに「ホームの罠」に陥れることができる。フランスにもそうした意味でプレスは有効な手段になる。

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