【日本代表】機略に富む指揮官が
アイスランド戦で新たにチームに与えたもの

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 梁川 剛●撮影 photo by Yanagawa Go

現状に満足しないザッケローニ監督(左)。試合後、結果を出した槙野智章(右)に対しても、さらなる奮起をうながす。現状に満足しないザッケローニ監督(左)。試合後、結果を出した槙野智章(右)に対しても、さらなる奮起をうながす。 日本代表がアイスランドを3-1で破り、2012年の初陣を飾った。

 内容に関して言えば、開始からわずか2分で先制しながら、その後は攻めあぐむなど、必ずしも満足できるものではなかったが、日本代表がこの時期に行なうシーズン初戦は、よくも悪くもこんなもの。オフ明けでJリーグも開幕していない状況では、ザッケローニ監督が言うように「原因は、フィジカルコンディションから来るもの。シーズン前だし、ある程度は想定内」。

 そんな中でも、イタリア人指揮官は「それぞれの選手が与えた要求に応えてくれた」と満足気な様子で試合を振り返り、こう続けた。

「私が日本に来て1年半くらいの間に、いろんな選手を呼んでいるが、現時点で選手層は厚くなっている。すべてのポジションで複数の選択肢がある」

 昨年1月のアジアカップ優勝を経て、当時のメンバーを中心に、軸となる選手こそ固定され始めているのは確かだが、ザッケローニ監督は新戦力の発掘にも熱心だ。

 事実、今回のアイスランド戦でも、磯村亮太、柴崎岳、久保裕也という20歳前後の若手だけでなく、大久保嘉人、石川直宏といった経験豊富な選手も初めてメンバーに加えた。年齢だけで選手を区別し、世代交代を理由にベテランの選手を排除するようなことはない。

 それどころか、この試合の選手起用を見る限り、現実的な戦力と見なしているのはベテラン組のほうだろう。磯村らに関しては、練習に参加させて刺激を与えることが主な目的だったようだが、大久保や石川に関しては、選手の特徴を把握したうえで、目指すサッカーにハマりそうなタイプを試してみたいという意図がうかがえた。

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