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【部活やろうぜ!】西武・西川愛也が今も高校時代の恩師に指導を請う理由「あの人に教えてもらったら打てる」 (3ページ目)

  • 中島大輔⚫︎取材・文 text by Nakajima Daisuke

【「僕らには見えないものが見えている」】

 だが、すべての選手が模範的な人生を送れるわけではない。西川のすぐそばには、栄光から転落した同期もいた。

 かたや、高校時代に大ケガを患い、プロになって飛躍を果たすまでに8年を要した西川だが、着実に前へ進んでいる。その最大の武器がバッティングだ。今季はパ・リーグで4位となる134安打を記録。本人は「高校時代に築いたものが大きい」と振り返る。

 独特な感性で教えてくれたのが岩井監督だ。西川はこれまで数々のプロ野球選手やコーチと打撃論を語り合ってきたが、高校時代の恩師はそのなかでもトップレベルにあるという。西武に入団した今も、年末に挨拶へ訪れた際にはバッティングを見てもらうほどだ。

「なんかわからないですけど、岩井監督に教えてもらったら打てるんですよ」

 岩井監督は西川のほかにも、1学年下の野村佑希(日本ハム)や、202年にドラフト1位でソフトバンクに入団した井上朋也、2024年にこちらもドラフト1位で巨人に入った石塚裕惺と、複数の打者をプロに送り出している。筆者は井上がドラフト指名された直後、喜びに沸く花咲徳栄で岩井監督を取材する機会があったが、理路整然とした打撃論や練習法、感覚の表現などに驚かされたことをよく覚えている。

 教え子の西川は、特にどんなことを覚えているだろうか。

「重心移動というか、右膝の使い方です。僕らには見えないものが、たぶん見えているんじゃないですかね」

 西川が岩井監督によく指導してもらうようになったのは、1年の秋季大会でベンチ入りを果たした後、2年生になってからだった。

 直後、初めて出場した春の甲子園で真骨頂を発揮する――。

>>>第3回──花咲徳栄の甲子園優勝「本当に優勝したの? 俺らが? みたいな感じでした」

西川愛也(にしかわ・まなや)
1999年6月10日生まれ、大阪府出身。181センチ・90キロ、右投げ/左打ち。外野手。大阪府堺市の浜寺ボーイズから、埼玉県の花咲徳栄高等学校に入学し、甲子園には3度出場した(2年春、2年夏、3年夏)。3年夏は甲子園の決勝戦で3安打4打点を記録し、同校初、埼玉県勢史上初の優勝に貢献。高卒で埼玉西武ライオンズにドラフト2位で指名された。高校時代に負ったけがの影響で、プロで活躍するまでに時間を要したが、8年目の2025年シーズンに開花。パ・リーグ4位の134安打と同3位の25盗塁を記録した。

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