オリックス戦力外の4投手はなぜトライアウトで圧巻のパフォーマンスを披露できたのか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Murakami Shogo

【27歳・神戸文也はトライアウト最速の148キロをマーク】

 オリックス右腕四人衆の一人ひとりの投球を振り返ってみよう。

 金田はプロ9年目の31歳。関係者に配布された資料の「アピールポイント」の欄にはシンプルに「ストレート」と記された。この日は最速147キロをマークしたが、力でねじ伏せるようなタイプではない。一塁側のボールはわずかにスライドし、三塁側のボールはわずかにシュートする動く球筋。加えて、カットボールやフォークといった変化球の精度も高く、総合力が光った。

 この日、対戦した荒木郁也(前・阪神)はストレートで三塁ファウルフライ。藤谷洸介(前・阪神)は133キロのカットボールで空振り三振。今井順之助(前・日本ハム)にはカウント3ボール2ストライクから四球を許したが、しっかりと両コーナーにコントロールした上での内容のある四球だった。

 登板後、金田は「今の自分にできることは出せたかな」と手応えを語っている。

 金田に続いて登板した神戸は、イキのいいストレートでアピールした。大卒5年目の27歳。2019年には19試合の一軍登板実績があるが、今季はファームで19試合、防御率3.57と結果を残せなかった。

 トライアウトでは最速148キロを計測した。130キロ台後半のスピードでストンと落ちるフォークも、決め球になりうる球種。セットポジションの長い間合いで打者をじらして、クイックモーションからの146キロで投手ゴロを打たせるシーンもあった。細かな制球力は乏しいものの、打者3人をノーヒットに抑えて出番を終えた。

【入団3年で戦力外となった荒西祐大は三者連続三振の快投】

 荒西はサイドハンド特有の角度と球筋を大いに見せつけた。「アピールポイント」には、「インコース攻めまくります(右打者)」との記載があったが、残念ながら右打者との対戦は1人のみ。それでも、唯一の右打者となった藤谷(阪神)のインコースへシンカーを投げ込み、空振り三振を奪っている。さらに左打者からも2三振を奪い、三者連続三振と最高の結果を残した。荒西は「早めに2ストライクに追い込めてよかった」と振り返る。

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