戦力外通告後、村中恭兵はなぜウインターリーグでのプレーを選んだのか (2ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Nishida Taisuke

 村中は、その"野球留学組"とすでに顔を合わせたという。村中が所属しているオークランド・トゥアタラ(ニュージーランド初のプロ球団)と同リーグのキャンベラ・キャバルリーには、横浜DeNAから数人の選手が参加していた。試合前にあいさつを交わしたが、それ以外はなにもなく、とくに意識することもなかったという。

「他人のことは気になりません。結果としてNPBに戻れたらいいですが、まずは野球がしたいという気持ちのほうが強いですね。せっかく腰もよくなったことですし......。独立リーグであっても、国外のリーグであっても、とにかく1年を通して投げたいですね。そのためにここに来たということです」

 先のことは考えず、とにかく今年1年は現役で投げたいというのが、現在の村中の偽らざる心境である。

 このオーストラリアのウインターリーグにはさまざまな者が集まってくる。メジャーリーグとの契約を狙う者もいれば、サラリーマンをしながら野球をしている者、メジャー球団から派遣されてくる者もいる。

 村中と同じく、NPB球団から戦力外通告を受け、かつてこのウインターリーグに参加したことのある選手は、オーストラリアに来た理由についてこう言い切った。

「もう現役という意識はありませんでした。これから第二の人生を歩む前のひとつの体験でした」

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