プロ野球におけるプレーオフの歴史。パ・リーグには幻の制度があった (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Kyodo News

 また、交流戦でのセ・リーグ球団の不振もあり、勝率5割に満たないチームがCSに出場するという事態も起きている。「日本一」を決めるはずのシリーズの存在意義が問われている。

 実際、2004年以降のポストシーズンを振り返ると"下剋上"が多くみられる。

 導入初年度のパ・リーグでは、シーズン2位の西武が1位のダイエー(現・ソフトバンク)をプレーオフで下して優勝を果たし、日本シリーズでも中日を破り日本一を達成した。

 また翌年も、シーズン1位のソフトバンクが2位のロッテに敗れ、2年連続して涙を呑んだ。

 このプレーオフ導入時も、レギュラーシーズン下位チームがリーグ優勝するという矛盾について検討され、レギュラーシーズンの重みを少しでもプレーオフに反映しようと、1位チームと2位チームのゲーム差が5以上の場合、セカンドステージで1勝のアドバンテージを与えることとしていた。

 ちなみに、20042005年のソフトバンクは2位チームとのゲーム差を4.5しかつけることができず、アドバンテージを手にすることはできなかった。

 これを受けて、2006年からゲーム差に関係なく、セカンドステージは1位チームに1勝のアドバンテージが与えられることになった。

 2007年からセ・リーグもこれに同調し、リーグ優勝はレギュラーシーズン最高勝率のチームとした上で、現在のCSが始まった。CS導入後の11年間で、レギュラーシーズン下位のチームが日本シリーズに出場したのは、セ・リーグでは2007年の中日、2014年の阪神、そして昨年の横浜DeNAの3度。パ・リーグは2010年のロッテの1度だけである。

 このうち中日とロッテは日本シリーズも制している。とくに2010年のロッテは、シーズン3位からの日本一を達成し、「史上最大の下剋上」として話題となった。

 現状では、リーグ優勝したチームがCSを勝ち抜き、日本シリーズに出場する確率は81.8%である。結果として、概ねレギュラーシーズンの意義が保たれ、「たまに起こる大どんでん返し」がファンをワクワクさせるという、興行的には理想的なかたちでCSは機能していると言えよう。

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