菊池雄星を磨くもの。ウルフとの英会話、今も続ける「野球ノート」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 プロ8年目を迎えた菊池は、こんな言葉を口にする。

「もう怖いものは何もない。失敗してもいいから、高いものを目指してやっていきます」

 今季は開幕からカード初戦で先発するケースが続いている。相手もエース格をぶつけてくるなか、勝ち星を重ねていくことは容易ではない。それでも、菊池は強い決意でマウンドに登っている。

「僕は涌井さん(秀章/ロッテ)や岸さん(孝之/楽天)のような『あれがエースだ』という存在を見てきていますから。監督、コーチ、選手、ファンを含めて、エースらしいと納得してもらえるピッチングをしないといけないと思っています。そのためには、年間通してローテーションを守って、信頼を勝ち取らないといけない」

 過去7年での年間最長イニングは昨季の143回。勝敗以前に、この程度のイニング数では「エース」と呼ばれることはないと自覚している。

「去年も5試合くらい(ローテーションを)飛ばしているので、投げていれば170~180イニングくらいいったかもしれません。まずはケガをしないこと。その上でローテーションを守り抜くことを考えています」

 毎日、自分の体との対話をした上で、トレーニングや食生活に取り組む。プロ7年間の蓄積を生かせるかは、これから後半戦にかけて菊池の課題になるだろう。

 そして、もうひとつ。菊池がエースと呼ばれるための大きな鬼門がある。それは「ソフトバンク」だ。

 ソフトバンク戦には通算15試合に登板して、0勝10敗。好調が続く今季も、ここまで喫した2敗はソフトバンク戦のものだ。優勝を争う上で、どうしても避けては通れない相手でもある。

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