WBC日本の新部署「初期消火」をこなす平野佳寿よ、ありがとう (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Getty Images

 平野は飄々とした口調で言う。

「こういう大会なので、場所はどこであろうと出せるものは出し惜しみせず、やっていけたらいいかなと」

 今大会、平野の出足は鈍かった。1次ラウンド初戦のキューバ戦。9対4とリードした8回表に登板した平野は、一死を取った後に3番のフレデリク・セペダに四球を与え、続くアルフレド・デスパイネにヒットを許した。そしてウイリアム・サーベドラをショートゴロに打ち取ったところで、秋吉亮と交代。その直後、秋吉がユリスベル・グラシアルにセンターオーバーの2点適時二塁打を浴びたため、平野に自責点2が記録された。

 決め球のフォークに自信が持てないのか、この日はスライダーを多用していた。WBC公式球との相性に不安を感じさせる内容だったが、1次ラウンド3戦目の中国戦で平野とバッテリーを組んだ大野奨太はのちに意外なことを明かしている。

「平野さんの状態はずっといいですよ。強化試合も含めてしっかりとボールを扱いながら、自分の球を投げてくれているなと」

 初戦のキューバ戦を除けば、平野は以降の3試合で3イニングを投げ、無安打5奪三振と完璧な投球を披露している。オランダ戦の試合後には、フォークへの手応えも口にしていた。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る