短すぎた絶頂期。「しくじりエース」小松聖が若手に伝えたいこと (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

 しかし、何かが違っていた。

「(15勝を挙げた)2年目はメカニック的に、はまった感じがありました。ただ、フォームのなかでチェックポイントをしっかり持てていなかったんです。『ここがこうなっているからいいボールがいく』『これができていないから悪い』というポイントがなかった。そういうことも含め、コンディションが悪かった。2年目の時点でポイントを見つけられなかったことが、あとにつながったのはあると思います」

「小松はどうした?」というなかで過ごした3年目以降の苦悩は想像に難くない。

「ストレスは相当ありました。でも、周りにそう思われたくないから演じている部分はありました。嫌なんですよ、周りにしんどい姿を見せるのが......。だから、今できることを淡々とこなしていました。でも今、もし3年目に戻ると想像したら、かなりしんどいなと思いますね(笑)」

 そして小松はこう続けた。

「よく気持ちが強いとか、弱いとかってみんな言いますよね。でも僕は"気持ちの強い人"っていうのを見たことがありません。何かが起きたときに前向きにとらえられるか、後ろ向きにとらえるか。ここの考え方の違いだけで、根本はみんな似ていると思うんです。それに基本的にはマイナス思考じゃないですか。僕の場合は、やせ我慢でそう見えないようにしていただけですけど......(笑)」

 結果が出ず、不安に襲われる時間が続くなかでも、うつむくことはしなかった。

「今をどうすれば、次につなげていけるか。そのことばかり考えていました。残念ながら結果は現れませんでしたけど」

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