西武・森友哉の激白「キャッチャーよりもDHがいい」 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その一方で、キャッチャーとして森を見た時、プロの世界でもレギュラーとしてやっていける力は感じながらも、バッティングほどのインパクトはなく、過去のトップクラスの高校生捕手と比べ、抜けていると思うことはなかった。

 今年のキャンプ出発直前の1月29日。ファンを前にした出陣式の壇上で、森はこう言い放った。

「まずはシーズンを通して一軍に居続けることを目標に、炭谷さんに追いつき、追い越したいと思います」

 炭谷の前で堂々の正捕手奪取宣言だった。昨年、夏場から一軍出場を果たし、バッティングでは3試合連続本塁打を放つなど、高卒1年目の選手とは思えない活躍を見せた。それに伴い、「今年は森が正捕手か!?」という報道もあったが、現時点でスローイング、キャッチング、配球、投手との信頼関係など、捕手として炭谷との力の差は歴然。「追いつき、追い越したい」という言葉からは、捕手へのこだわりというより、一軍で4打席立てる場所がほしいという思いを強く感じた。

 なにより、捕手以外のポジションを求める理由は、高校時代から幾度となく話を聞いてきた中で感じた、森の思考の部分だ。よく捕手は、周囲を広く見て、相手を気遣い、理詰めで物事を考えると言われている。ただ、森とは「捕手論」や「配球」といったキーワードで話が広がった記憶がない。
 
 そして田辺徳雄監督はキャンプ中、「(炭谷)銀仁朗と競わせますが、森がとんでもなく打つようならDHでの起用も考えます」と語ったが、その言葉通り、開幕からDHで起用され、交流戦が始まるまで打率.300、本塁打9、打点27と、文句のない成績を残している。

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