785日分の強さを身に付け、斎藤佑樹は生まれ変わった (4ページ目)
3-1とファイターズがリードして迎えた9回裏。
斎藤はベンチでグラウンドを見つめていた。
考えていたのは、去年のことだ。
春のキャンプではまったく投げられず、このまま野球ができなくなったらどうしようかと、斎藤はホテルの部屋でひとり、泣いていた。そんな想いを駆け巡らせていたら試合が終わり、斎藤に785日ぶりの勝ちがついた。破顔一笑の斎藤は、ヒーローインタビューのマイクに向かってこう言った。
「プロ1年目、最初の相手がロッテだったんですけど、その時はこんなに簡単に勝てるものなんだと思っていました。でも、今日は本当に苦しかったし、改めて野球の難しさを感じました。これからまた僕の第二の野球人生が始まります。一緒に頑張っていきましょう」
勝つことの難しさを知らなかった、第一の野球人生は終わった。
そして、ようやく勝つことの難しさを知って、今、第二の野球人生が始まった。
どちらが強い斎藤佑樹なのかは、比ぶべくもない――。
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