2013年ドラフト。桐光学園・松井裕樹を指名する球団はどこだ!? (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 そんな中、今年のドラフトで最も注目を集めているのが桐光学園のエース・松井裕樹(17歳)だ。年が明けた時点では、松井のためのドラフトになるのではないかという空気があった。それが甲子園を逃したことで一変。「評価に変わりはない」とスカウトたちは声を揃えるが、松井の周辺が落ち着いたことは確か。

 ピッチングそのものの評価も、「チェンジアップを習得したことで投球の幅が広がった」という声もあるが、「甘い球が増えた」「昨年の方が、真っすぐもスライダーもキレがあった」というスカウトもいる。それでも「今年のドラフトでいちばん魅力を感じる選手は?」と聞けば、松井の名前を挙げるスカウトがほとんど。2年夏の甲子園で1試合22奪三振の衝撃は、今もスカウトのたちの脳裏に焼きついているのだろう。

 ただ、松井を「即戦力」として評価するのか、「将来性」を買って指名するのかは、球団によって違う。某球団のスカウトは、「ボールの質は真っすぐも変化球も文句なしにプロのローテーションでやっていけるレベル」と断言するが、多くのスカウトたちが課題に挙げているのが、走者が出た時のクイックやけん制などの細かい技術の部分。すぐに改善してプロのレベルに達する選手もいるが、通常は意外に時間がかかるという。また、そのことに気を取られて、ボールの質を落とすピッチャーもいる。前出のスカウトが「これだけはやってみないとわからない」というように、即戦力としてではなく、素材の高さを評価しているチームが1位指名に踏み切ってくる可能性が高い。

 現状では、ロッテとソフトバンクが松井指名の意志を見せている。1位指名確実と思われていたDeNAは、高田繁GMが「地元優先とかはない」と発言したことで「?」がついた格好だが、おそらく即戦力投手を希望する現場の意向を配慮したもので、最終的にフロントと現場の話し合いによって決まるだろう。他にも、ヤクルトと楽天が以前から松井を高く評価しており、「投手を指名する」とだけ明言している日本ハムも可能性がないわけではない。そんなことで松井には5球団前後の指名があるのではないか、というのが大方の予想だ。

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