イチローの苦悩がわかる。アトリーが語る「代打で試合に出る難しさ」 (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

「私にとって、すごく難しいなと感じていることは、打席に立ったときのタイミングの取り方なんです。コンスタントに打席に立っていないと、バッターボックスでのタイミングの取り方が難しくなってきます。体力に関しても、イチローが言っていることはよく理解できます。スプリングキャンプが始まった頃の感覚によく似ていますね。特に、彼の年齢(43歳)で2週間ぐらい守備に就いていないことは、どれだけ体力的に厳しいことか、よくわかります」

 アトリーは開幕からベンチスタートだったが、約1カ月後、チームメイトの故障によってスタメン出場が多くなった。開幕当初からそれまでは自分でも驚くような結果だったとアトリーは言う。

「シーズンが始まって最初の1カ月は、毎日打席が回ってこないなか、タイミングを取るのが予想していた以上に大変でした。代打の役割を果たす選手の難しさは、自分が経験するまでまったくわかりませんでした。私にとっては、まだ試行錯誤しながら習得している段階なのです」

 代打として起用されながら結果を残せず、打率も1割台に低迷しているとき、アトリーはちょっとしたきっかけで打撃感覚を磨く方法を見つけることができたという。

「チームメイトである先発投手のブランドン・マッカーシーが4、5イニングを練習で投げている日があったんですけど、そこに参加させてもらって、10打席ぐらい立ったんです。すると実戦に近い感じで、すごくいい練習になりました。おかげで、その日の試合はいつもよりいい感じで打席に入ることができました。気分よく打席に立つということが、打者にとっていちばん大切なんです。きっと、イチローも同じことを言うでしょう。打席での心地よさは自信につながり、その自信が成功につながるんです。今後、もしピッチャーが打者を相手に練習したいと言うのであれば、私はその機会を逃さず、絶対にバットを振らせてもらうつもりです」

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