かつては松井秀喜も。MLBに見る「2番スラッガー起用」の歴史 (5ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 セイバーメトリクスのデータとして興味深いのは、「ワンアウト・ランナー二塁よりも、ノーアウト・ランナー一塁のほうが得点できる確率が高い」という点です。これまで日本のプロ野球では、1番バッターが出塁すれば2番バッターは送りバントでワンアウト・ランナー二塁の形にする、というのが一般的でした。しかし、最新のセイバーメトリクスの見地からすれば、それは得点する確率を下げる戦術だと言われてしまうでしょう。

 つまり、ノーアウト・ランナー一塁という場面になれば、2番バッターには打たせたほうが得点する確率は高いのです。たしかに俊足の選手が出塁した場合、パワーヒッターの2番バッターが長打を放てば、一気にホームインできる可能性はグッと高まるでしょう。

 ただ、2番に強打者を置くスタイルには、そのバッターにある条件が求められます。まずはパワーがあるだけでなく、スピードも兼ね備えた万能タイプであること。そして、高い出塁率を残していることです。2番バッターはランナーなしの場面で打席に立つケースも多いので、チャンスメイクとしての役割も同時に担わないといけないからです。

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