こんなに違う日米のドラフト制度。日本は狭き門でも入ればチャンス (3ページ目)
ドラフト後の1軍・メジャーへの昇格率比較
昨年のドラフトで指名された115人のNPB選手のうち、今シーズンに1軍でプレーした選手は52人(44.8%)。中には、ピッチャーで1試合のみの登板や、1回だけ打席に立った選手の1軍登録もあったが、球団側が新人選手にもできるだけチャンスを与え、次のシーズンに備えようとする意図が伺える。1軍のレベルを体感できるだけでなく、「早く1軍でプレーしたい」というモチベーションにもなり、それが選手の成長にいい効果をもたらすケースが多々ある。
一方で、MLBの1215人の選手に関しては、今シーズンにメジャー昇格し、試合に出場したのはわずか5人(0.4%)に過ぎない。その全員が大学から入団した選手で、5人のうち4人が1巡目指名、残る1人が8巡目指名の選手だ。MLBではドラフト指名されても1年目でメジャーに昇格することは極めて難しく、数年のマイナー生活で実績を上げ、激しい競争を生き延びてからの昇格を余儀なくされる。
それぞれのドラフト制度の良し悪しと、今後のNPBの課題
ここまで述べたように、NPBはドラフトで指名される人数が少ないが、指名されれば1軍昇格の可能性はMLBに比べると高い。MLBドラフト制度では、たくさんの選手が指名され、8段階に分かれたマイナーリーグでプレーするチャンスは多いものの、メジャーへ昇格するまでの道のりはNPBで1軍に昇格するよりも険しいと言える。
現状、NPBがドラフトで海外の選手を指名することは基本できず、MLBも日本選手をドラフト指名できないことになっている。しかし、MLBはドラフトのグローバル化を検討しており、もしそれが実現すると、「マイナーリーグでもいいからアメリカでプレーしたい」「契約金をたくさんもらいたい」という日本人選手が、MLBドラフトによってアメリカに流れてしまう可能性がある。
近年はNPBでも3軍チームを編成し、より多くの選手が試合に出場できる機会を設けるなど、MLBドラフト制度のプラス面を取り入れた育成方法を導入し始めている。有望選手の海外流出を防ぎ、NPBを発展させるためにも、こういった試みを継続し発展させていかなくてはならない。
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