2020.07.21

9球団のスカウトが静岡に集結。
「中村奨成より強肩の捕手」とは何者だ

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 二俣の体のサイズは身長178センチ、体重75キロと捕手のドラフト候補としては細身に見える。てっきり肩の一芸で売っているのかと思いきや、打撃でも非凡さを見せつけた。

 捕手としては珍しく1番打者として登場すると、浜松工の注目右腕・杉田蒼希の緩いスライダーをとらえてレフト前へ。この一打をきっかけに、磐田東は3点を挙げて主導権を握った。

「杉田くんの真っすぐは140キロを超えるので、真っすぐが来るかと思ってたんですけど、その1球前からスライダーでストライクを取られたので、またスライダーでカウントを取りにくると読んでいました」

 二俣は左ヒザをわずかに沈めてから左足を高く上げて軸足でバランスよく立ち、ボールを手元まで呼び込んで力強くとらえる。磐田東のベテラン指導者・山内克之監督も「変化球に対してあれだけ間(ま)をつくりながら振れるところに非凡さがある」と認める。今年に入って長打力も増しており、高校通算21本塁打を放っている。

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 そして試合が終盤に差し掛かった5回裏、バックネット裏のスカウト陣が一斉にスピードガンを取り出した。二俣が今度はマウンドに立ったのだ。

 上から叩きつけるようなフォームから、この日は球場のスピードガンで最速143キロを計測。最終回の7回(静岡の独自大会は7イニング制)にやや乱れたが、3回2失点にまとめて試合を締めくくった。

 とはいえ、バックネット裏のスカウトたちは二俣を捕手の素材として見ている。自身も現役時代に捕手だった中西親志スカウト(ヤクルト)は、これまで何度も二俣を視察しているという。

「素材としていいものを持っていますよ。地肩の強さと身体能力の高さがあるので、伸びしろもあって面白いです」

 その一方で、中西スカウトはこんなことも言っていた。

「地肩とスローイングはまた違います。まあ、それはこれから覚えていけばいいんですけどね」