ドラフト下位指名で、スカウトたちが秘かに狙う「7人の隠し玉」 (5ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Jiji Photo Press

 非力さが目立っていたバッティングも、この夏の県大会で1試合2本塁打をマークして、着実に力をつけてきている。まだ140キロ中盤のストレートに差し込まれるところもあり、まだまだパワーアップが必要だが、"走攻守"すべての要素で成長のあとが見える。今後、注目していきたい選手のひとりだ。

 最後は、175センチ、105キロの巨漢内野手・渡部健人(日本ウェルネス高/遊撃手/右投右打)。じつは、この選手を2年前の夏に見ている。当時、渡部が所属していたのは、横浜商大高という神奈川の強豪校だった。その頃から今と変わらず西武のおかわりくん(中村剛也)のような体型で、二塁のポジションをじつに器用にこなしていたのを覚えている。とりわけ、一、二塁間のゴロを半身で捕球して、体を一塁向きに変えて送球する動きは、軟体動物のような身のこなしだった。

 打撃についても、リストワークが柔らかく、力任せの感がまったくなく、それでいて強烈な打球を放つ。その天才的なバッティングも強烈な印象として残っている。

 そんな"神奈川のおかわりくん"の消息が途絶えたのが2年になってからで、いつの間にか、転校していた。そしてこの夏、公式戦での出場が解禁になって、日本ウェルネス高で以前のように天才的なプレーを披露して、驚かされた。

 ここで紹介した彼らは、決して上位で指名されるような選手ではない。しかし、一芸に秀でた才能は、きっとチームの戦力になるに違いない。彼らを秘かに狙っている球団はあるはずだ。

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