対戦相手たちが見た「BIG3」。彼らの凄みとは何なのか?

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今夏の甲子園大会は「BIG3」と呼ばれるプロ注目の3投手が注目を集めている。彼らはいったいどんなボールを投げているのか。甲子園で実際に対戦した打者の証言から、逸材の実像に迫ってみたい。

高川学園戦で11奪三振と好投した履正社のエース・寺島成輝高川学園戦で11奪三振と好投した履正社のエース・寺島成輝 大会2日目の8月8日、大会ナンバーワン左腕と言われる寺島成輝(履正社・大阪)が甲子園のマウンドに上がった。今年のドラフト戦線を常に最前線で引っ張ってきた存在だが、甲子園は3年の夏にして初登場。4万2000人の大観衆がその投球を見守るなか、寺島は評判通りの投球を見せつけた。

 機動力を武器に嫌らしい野球をする高川学園(山口)に対して、被安打2、奪三振11、失点1(自責点0)で完投勝利。2回の時点で4点をリードしたこともあり、途中から要所以外は力をセーブして投げているようにも見えた。

 試合前に「真っすぐが多いので、詰まらされないようにしたい」と語っていた高川学園の2番打者・山崎悠大は、打席に立った印象をこう語る。

「体は大きいし、マウンドでも大きく見える。序盤は手も足も出ない感じでした。球数を投げさせて終盤勝負と思っていたのですが、ストライク先行だったので、なかなか思うようにいきませんでした」

 それでも見せ場は作った。俊足の1番打者・大江駿介が四球と内野安打で2度出塁すると、走者・大江は寺島から何球も牽制球を引き出し、打者・山崎は何度もファウルで粘って寺島を揺さぶった。高川学園の特徴である「ノーサイン野球」で盗塁やランエンドヒットを繰り返してチャンスを作り、6回には3番・相田聖人のタイムリーヒットにつなげた。だが、高川学園が挙げた得点はこの1点のみだった。

「あの回(6回)は自分たちの野球ができたと思うのですが、他の回にもっと球数を投げさせたり、足を使えたらよかったと思います」(山崎)

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