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「見えない」視覚障害者柔道の選手は
どのように技を体得していくのか (2ページ目)

  • 荒木美晴●構成 text by Araki Miharu
  • 山本雷太●写真 photo by Yamamoto Raita

 永井選手の目標や憧れは「自分の場合、無意識の怖さからか体が硬くなって、反応が遅くなってしまうので、それを解き放った柔らかい柔道」。誰かの柔道を映像として見ていないから、「目標とするあの選手のように」「こういう技ができるように」ではないんですね。

 もちろん、永井選手は鈴木さんのことをオリンピックの金メダリストとして尊敬しているのですが、「憧れ」とは少し違う。なぜなら、自分が知っている「最高の柔道」とは、誰かとの比較ではなく自分でしかないからです。永井選手の言葉は、これまで取材させていただいてきたアスリートの方々の「憧れ」の感覚との違いを的確に表わしているなと思うと当時に、今の自分を超えた先の自分に憧れを抱くのだなと納得しました。

 また、永井選手のお話を聞いてすごいと思ったのは、見えない状態でやっていることよりも、「自分の柔道や技を知る過程」でした。

 番組の収録でも、鈴木さんが永井選手に小外刈りを伝授する場面がありました。そのあと、カメラが回っていない時も、永井選手が鈴木さんに食い下がって「もう一回、お願いします!」と、鈴木さんに何度も小外刈りをかけてもらっていました。

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