星奈津美、金メダル獲得。自覚した「リオ五輪金メダル」への責任感 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

「わりと余裕を持って入っての1分0秒台なので、そこはいいんじゃないかなと思います。ここで日本選手権よりいいタイムが出たということは、しっかり調子を合わせられた証拠。ただ、準決勝1位通過は予想外でした」

 平井コーチも準決勝の星をこう評価する。

「本当はレース前に、トップ通過したくないと言っていたんです。奈津美はホワーっとしていて人を和ませてくれる性格だけど、おおらかで服を着替えるのも遅いので、トップ通過してしまうと、レーン紹介で出てくる順番が一番最後になるから、自分の間が十分に保てなくなるので嫌だと。最後はきつかったようだけど、『じゃあ力を出し切るな』と言ったので、出し切っていないと思うんです」

 平井コーチには、準決勝レースで最初の50mが力を使っているストロークに見えたという。それを見て決勝の前には「最初の50mはもう少し遅めになってもいいから、飛び込んでから最初の3ストロークに少し余裕を持っていこう」と話したという。

 その指示通り、決勝で最初の3ストロークを大きくして泳いだ星は、少し遅すぎると感じ、35mからはテンポを上げた。そのために予選や準決勝と同じ19ストロークでは少しだけ届かなくなると思い、詰まった感じで20ストローク目を掻いた。その乱れが影響して次の50mも準決勝より1回多い23ストローク。通過タイムも予定の1分0秒台より少し遅くなる1分01秒06になった。

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