箱根駅伝 渡辺康幸が語る青学大「初優勝から11回中8回総合優勝」の強さと史上最高レベルの2区 (2ページ目)
【2区でヴィンセント超え、1時間05分台3人は予想どおり】
先輩・ヴィンセント超えで華々しい箱根デビューを飾った東国大・エティーリ photo by Nakamura Hiroyuki 今回は4年前にイェゴン・ヴィンセント選手(東京国際大、現・Honda)が樹立した区間記録を3人が上回り、1時間5分台の走りを見せたのは、予想どおりでした。これだけ長距離界や駅伝で高速化が進んでいるわけですから、個人的に5分台が5人くらい出るのかなと思っていたくらいです。
まず、区間賞(1時間05分31秒)のリチャード・エティーリ選手(東国大2年)は華々しい箱根デビューとなりましたが、彼が持っている力からすれば驚きはありませんでした。やっぱりこんなに走ってしまうんだな、と(笑)。加えて、意外に上りも強い点は新たな発見でした。
彼はヴィンセント選手よりもトラックの持ちタイムが速く、ケニアのパリ五輪選考会では5000mで9位に入った選手なので、逆に、ここ2年の箱根予選会で力を発揮できなかったのは何だったのかなと。おそらく暑さにそれほど強くないのかもしれませんが、昨年の丸亀ハーフで日本学生記録を更新した時もそうでしたが、涼しければきちんと力を発揮できるんだなと感じました。
エティーリ選手に次ぐ1時間05分43秒で日本人歴代トップとなった吉田響選手(創価大4年)は過去に実績を残した5区ではなく2区で走りましたが、吉田選手に1秒差の黒田朝日選手(青学大3年)とともに、2区のセンスがある走りでした。前半10kmまでは抑えて走り、それ以降でしっかりペースを上げていきました。
山口智規選手(早稲田大3年)は、僕の早大記録を前回破っているので(1時間06分31秒)2区の適性はあるのですが、今回は前半から突っ込んで後半粘れませんでした(1時間07分01秒の区間12位)。年々レベルが上がるなかでは、前半突っ込んだ場合は後半にしっかり粘らないとなかなか上位にはこれない。おそらく山口選手は、性格的に「前半を抑えろ」と言われても突っ込んでしまう選手なのではないかと思います。
1区や3区では突っ込んでいくことが好記録につながるケースが多いと言えますが、2区はコース全体をどのようなペースで走るのか、それをうまくコントロールして最大限の力を発揮できるマネジメント力が他の平地区間に比べても問われる区間なのです。
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