【箱根駅伝2025予選会】中央大がエース級を欠いても6位通過 藤原正和監督も「地力は上がっている」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

チームトップの全体17位でフィニッシュした中大・白川 photo by Jiji Pressチームトップの全体17位でフィニッシュした中大・白川 photo by Jiji Press

第101回箱根駅伝(2025年1月2日・3日)への出場権を賭けた箱根駅伝予選会が10月19日、東京・立川市で行なわれ、前回大会上位10校以外の出場校10校が決定した。予選通過6位となった中央大学は、前回大会で優勝候補に挙げられながらも13位に終わった雪辱を晴らすべく、今シーズンの戦いに挑み始めた。

【故障者が続き1年生5人を起用】

 前回の箱根駅伝では優勝候補の一角と見られながらも、年末に多くの体調不良者が出た影響で総合13位とシード権も逃すまさかの結果になった中央大。長年、チームの柱となってきた吉居大和ら4年生が抜けたとはいえ、今シーズンも上位で戦えるだけの戦力は十分に残っている。そのため、新チームのスタート時から3年ぶりの箱根予選会に向けては、「前回の大会(本戦)で区間賞を獲っている選手を予選から走らせるのはちょっと違うということで、『そういう選手を箱根に連れて行くという気概で全員がやっていこう』と話していた」(藤原正和監督)と、前回7区区間賞獲得の吉居駿恭(3年)を起用せずに、1位通過を目指していた。

 だが、大会前になって思惑とは少し違うシナリオとなった。

 7月に10000mの中大記録27分52秒38を出すなど自己新を連発していた溜池一太(3年)、日本選手権3000m障害2位で前回の箱根は10区を走った柴田大地(2年)が故障の影響でエントリーを見送り。加えて、この予選会の2週間後には全日本大学駅伝が控えていることもあり、昨季の三大駅伝で好走していた浦田優斗(4年)と本間颯(2年)も温存。1年生を5人起用するオーダーで臨んだ。

 スタート時の気温は23度を超え、湿度も高く、厳しい条件となったレース。「予選会校なので、(練習で走る)距離にはしっかりとこだわってやってきた」と藤原監督が話すように、これまでより各選手は月間走行距離も大幅に増やし、「予選会校のなかでは一番やっているから、そこは自信持ってやってくれということは常々話していた」という状態。「戦力的にも力がついてきたので、涼しければ確実に総合3番以内はいける」と言うが、高気温の条件下で戦略を変えた。

「こうなった時は、もう総合1位やタイムにはこだわらない。とにかく(予選を)通ることが最優先事項として粘り通すこと、順位を確認しながら最後の1kmで5秒でも10秒でも稼いでくることを意識しました。一番危惧したのは脱水症状になって棄権すること。1年生を5人使っていたのでそういうリスクはあるだろうなと‥‥そこが一番怖いなと思っていたので、とにかく走りきることを第一目標にすれば結果はついてくるという姿勢で、あまりプレッシャーをかけずに『今日は5番か6番だ』みたいなことを言って送り出しました」(藤原監督)

 体感では30度近くの暑熱下でのレースとなったため、スタートからスローペースの展開に。最初から前に出た留学生たち以外の日本人の大集団は、最初の5kmを15分10秒前後で入り、そこから徐々に縦長にバラけていくレース展開となった。そのなかで白川陽大(ひなた/3年)と岡田開成(1年)は10kmを29分台で走り上位集団に位置し、ほかの10人は30分30~40秒台で通過した。

「こういう時はタイムではなく、それぞれの選手が順位をしっかり取ることを意識させ、逃げるグループの白川と岡田は30番以内を目標にしました。中間のグループの5人は『できたら60番以内で来てくれ』というところを目標にしたが、10km過ぎからそのなかのふたりが少し崩れてしまったので、最終的にはそこが総合タイムに響いたかなと思います。最終ラインのグループは100番前後でゴールしてくれというところだったが、なんとか粘り通してくれたと思います」(藤原監督)

1 / 2

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る