神野大地マラソン人生の第2章がスタート。新コーチは元五輪ランナー (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 最初に13人の学生と面談をし、その後、服部勇馬(トヨタ自動車)、相澤晃(旭化成)といった実業団の選手も協力してくれた結果、計60名の学生と面談することができた。

 話をしていると、最終学年の学生にはある共通の悩みがあった。

「進路とモチベーションは共通した悩みでしたね。とくにモチベーションの低下はみんな抱えている問題でした。ただ、レースがなくなってしまったのは仕方ないし、自分の力ではどうすることもできない。そうしたなかで『気持ちは沈んでいても、努力することはできる。トレーニングしたり、目標を見失わずにやったことは、これからの人生に必ず生きる。この時代にどう行動したしたのかということを大切にしてほしい』という話はしました」

 学生たちからの積極的な問いかけもあり、面談は非常に充実したものになった。そのなかで神野自身もプラスになることが多かった。

「面談をしなければ、そんな深く考えることもなく、過ごしていたかなと思います。学生と話をしながら『努力しろ』と、自分にも言い聞かせていた部分もありました。面談した学生から『前向きになれました』『こういう機会をつくってくれてありがとうございました』とメッセージをいただいた時は、あらためてやってよかったと思いました」

 そういって神野は笑顔を見せた。

 その一方で、"チーム神野"には大きな変化が生じていた。3月1日の東京マラソンは、レース前、過去最高の仕上がりに自信を持ち、目標設定タイムの2時間8分台は十分可能だと、神野はもちろん、トレーナーの中野ジェームズ修一もコーチの高木聖也も思っていた。

 だが、30キロ付近でスピードが落ち、2時間12分11秒(39位)という結果。ショックは大きく、レース後「今後のやり方を見直す必要がある」と、神野は厳しい表情で語った。

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