パラスイマー鈴木孝幸「ぎりぎり合格」。世界選手権で復活を印象づけた (4ページ目)

  • 斎藤寿子●取材・文 text by Saito Hisako
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 あれから2年。今シーズン、鈴木は2種目で世界ランキング1位となり、リオで予選敗退だった100m自由形では今年4月に世界新記録を樹立と、すでに復活の狼煙をあげていた。あとは世界各国のトップスイマーたちが集結し、本気モードでのレースが繰り広げられる世界選手権の場で、どんなパフォーマンスを披露することができるか。これが東京を目指す"見極め"の最終テストを意味していた。

 その結果、銀4、銅1の計5個のメダルを獲得。全種目でトップ争いを繰り広げた鈴木は金メダルを取ることができなかった悔しさをにじませながらも、「これだけメダルを取れたので」と自らに「ぎりぎりの合格点」を与えた。

 4つの銀メダルのうち、特にトップとの差が0秒42の50m自由形と、0秒16の200m自由形は、タッチの差でのまさに"惜敗"だった。しかし、ここにも鈴木は自らの進化を感じていた。

「これまでもタッチの差で負けることがあったのですが、いつも相手を見て焦ってしまうことが多かったんです。でも、今回は相手を気にせずに自分のレースをやり切ることができました。その部分においては、よかったと思います」

 常に冷静に自らの泳ぎを分析する鈴木の姿には、金メダリストになるべく貫禄が漂っていた。

 1年後、再び世界の頂点へ。鈴木は、さらなる進化を遂げるつもりだ。

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