スピードスケート男子、世界への逆襲。平昌ではメダルゼロも北京五輪では期待大 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 その一戸とともに、パシュートで金を狙うウイリアムソン師円(日本電産サンキョー)も、平昌後は身体改造などに取り組んでいたが、今年に入って方針が固まり、2月の長野選抜では1500mで国内最高の1分44秒95を出して、北京の個人メダルも視野に入れている状態。

 まだ滑り込みが足りない状態で挑んだ今回は、1500mは先に滑った山田将矢(日本電産サンキョー)の1分45秒84の大会記録を意識しすぎて力み、6位と同種目のW杯代表は逃したが、5000mは3位になって着実に代表入りとなった。もうひとりの土屋陸(日本電産サンキョー)もまだ滑り込みが足りない状態ながら、1500mと5000m、1万mでも4位になってW杯に駒を進め、日本チームとしては順調な滑り出しになっている。

 また1000mは、平昌後に新濱とともに一気に世界に近づいている優勝候補の山田が、「今季はスピードが出るようになった」と手応を感じながらも、そのスピードが想定以上だったことでバランスを崩して失格になった。それでも1500mで2位と、1000mとともにW杯代表入りは果たしたが、1000mでは20年世界距離別出場の小島良太(エムウエーブ)が優勝したほかに、山田和哉(高崎健大)と野々村太陽(専修大)などの新戦力が2位と3位になって代表入りした。

 北京五輪の出場枠は11月から始まるW杯の成績で決まるが、選手総数の最大枠は9という狭き門。有力選手の顔ぶれが平昌五輪とほぼ変わらないであろう女子に比べれば、男子は新顔が一気に増えそうな状況だ。今回の距離別の若手台頭でその争いが激しさを増してきた。

 平昌の悔しさを払しょくしようとする男子にとって、その勢いは北京五輪のメダル獲得への大きな後押しになるはずだ。

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