2020.10.12

ドーピング問題で欠場選手も出たリオ五輪。三宅宏実の銅メダルの価値

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

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PLAYBACK! オリンピック名勝負ーー蘇る記憶 第38回 

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。 

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2016年リオ五輪ウエイトリフティング女子48㎏級で、苦境から挽回し銅メダルを獲得した三宅宏実 2016年8月のリオデジャネイロ五輪、開会式の翌日に行なわれたウエイトリフティング女子48㎏級。前回ロンドン五輪の銀メダルに続く、2大会連続メダルを狙う三宅宏実は、最初のスナッチでいきなり窮地に追い込まれた。スタート重量を出場12選手中7番目の81㎏に設定したが、1回目と2回目を連続で失敗してしまったのだ。

「ウォーミングアップで80㎏まで触って81㎏からいったものの、ステージに立つとぜんぜん取れるような重さではなかった。『これはちょっとまずい』と思って2本目は思い切りやろうとしたけどダメだった。スタートを81㎏まで落としたのは久しぶりだったので、緊張感に襲われて不安になっていました」

 次で挙げられなければ、記録なしで三宅のリオ五輪は終了する。加えて、三宅と同じ重量に挑戦する選手は1回目で成功したもう1人だけだったため、2回目から3回目は連続の試技になり、名前をコールされてから2分以内に行なわなければならなかった。

 その3回目、三宅はバーベルを一気に頭上へ差し上げたが、一瞬、尻が床に付きそうになった。何とか堪えて立ち上がると、成功のランプが点灯。首の皮一枚で次へつなげたのだ。