スノボ日本男子勢が躍進。筆頭は「ヤバい」ライダーを目指す片山來夢 (2ページ目)

  • 徳原 海●文・写真 text&photo by Tokuhara Kai
  • BURTON●競技写真 riding photo by BURTON

平野不在を感じさせないインパクトを残した17歳の戸塚(左)と23歳の片山(右)平野不在を感じさせないインパクトを残した17歳の戸塚(左)と23歳の片山(右) しかし、この片山のパーフェクトな滑りが今年のXゲームズ王者スコッティ・ジェームズ(オーストラリア)の闘争心に火をつけた。彼も1本目から高さと難度を兼ね備えた攻めのルーティン。「1260」でのフィニッシュが着地後に観客エリアに突っ込むほどの勢いだったことからもその本気度がうかがえた。92ポイントで片山を上回り、ジェームズがトップに立った。

 1本目から平昌五輪を彷彿させる熾烈な争いとなったファイナル。結果は、片山が3本目で4回転ジャンプ「1440」を成功させるも他の技で着地に失敗。その結果、片山は新たな絶対王者の呼び声も高いジェームズに阻まれる形で、2年連続の準優勝。直後には、こう語った。

「いい得点を出せた要因は"スタイル"を表現できたところ。エアの高さや、キャブダブルの時にテールを掴むといったディテールの部分に自分なりにこだわって、スノーボードは回すだけがすべてじゃないところを見せられたんじゃないかなと思います。(平野)歩夢がいない寂しさはありつつも、自分が絶対にタイトルを獲りたいと思って臨みました。だからこそスコッティには勝ちたかったです。ただ、まだまだ自分には伸びしろがあると思っていますので、来シーズンに向けてもう一度、自分のスタイルを高めていくことに焦点を当てながら"ヤバい"と言われるライダーを目指したいですね」

 スタイルを追求する滑りは、あの國母和宏から大きな影響を受けたという片山。実は滑りとは別の部分でも変化があった。英語力である。予選前のプレビュー映像では、英語で大会にかける思いを語り、表彰式後の記者会見でも海外記者たちと通訳なしで受け答えをし、ときにはジョークを交えて笑いも誘った。昨年までは見られなかった光景に、彼のプロフェッショナリズムの飛躍的な向上を感じずにはいられなかった。

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