2019.09.26

井上尚弥に最大級の賛辞を贈るドネア。
それでも「多くの欠点がある」

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

“運命の一戦”が間近に迫っている。

 ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級の決勝戦、井上尚弥(大橋ジム)vsノニト・ドネア(フィリピン)戦が、11月7日にさいたまスーパーアリーナで行なわれる。WBA、IBF世界バンタム級タイトルもかかった一戦は、日本ボクシング史上最大級のファイトとして注目度が高まっている。

 試合まで2カ月を切った9月14日。ラスベガスにいるドネアを訪ね、じっくりと話をきいた。5階級を制し、軽量級を代表する男にとっても、今回のタイトル戦が極めて重要な戦いであることは間違いない。かつて、井上の憧れでもあったスーパースターは、何を思って”アジアでのメガファイト”に臨むのか。

WBSS決勝の記者会見に臨んだ井上(左)とドネア(右)――8月26日に都内で行なわれた井上戦の記者会見にあなたも出席されましたが、これまでも何度か日本を訪れているそうですね。今回の滞在はどうでしたか? 

「すばらしかったですよ。日本には多くの友人がいますし、本当に大好きな国です。漫画をはじめジャパニーズ・カルチャーも大のお気に入り。日本に行く時は、いつも最高の気分になるんです」

――あらためて、井上選手の印象を聞かせてもらえますか?

「いい選手ですね。強く、速く、学ぶことを忘れていない。まだ発展途上で、とてもデンジャラスな選手です」

――とくに際立つ部分を挙げるなら?

「現在、すごくいい流れの中にいて、彼が自身を”アンストッパブル”である(誰にも止められない)と感じていることです。あとは何といっても、とんでもないパワーを備えていることでしょう」

――井上選手との初対面は、2014年12月の井上vsオマール・ナルバエス(アルゼンチン)戦の前だったとのこと。その試合で井上は、実績豊富なナルバエスに2回TKOで圧勝しました。当時と比べて印象は変わりましたか?

「あの試合前に、私は井上にアドバイスをしましたが、それから彼は大きく成長したと思います。今年の5月、スコットランドで行なわれたIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦の結果(2回KO勝利)には、『あれほど早く終わらせてしまうとは』と、私もかなり驚かされました。あの日、井上が私の予想を上回るボクシングを見せたことは確かです」

――軽量級の新旧スターであり、旧知の仲でもあるあなたと井上の対決は、漫画や映画のストーリーのようですね。ご自身でも運命的だと感じていますか?

「はい、その通りですね(うれしそうに笑う)。初めて彼に会った時、私の試合をずっと見て、尊敬していると言ってくれました。その彼がハードワークを続け、成長し、対戦できることになったんです。おっしゃる通り、まるで映画のよう。とても魅力的な展開だと思っています」