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【女子バレー】今の日本代表の「明るさ」を象徴するリベロ岩澤実育 高校の後輩でキャプテン・石川真佑を「親目線で」気づかう (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【"戦友" 石川真佑と「一緒に楽しく試合ができています」】

 VNLでも、下北沢成徳高校時代からの"戦友"である石川真佑キャプテン(岩澤がひとつ年上で、当時はともに春高バレー連覇を経験)を盛り立てるような姿が注目を浴びた。ふたりで弾けたように笑顔になる場面もあった。チーム全体に、勝負を楽しむ雰囲気が生まれた。

「(石川)真佑とは成徳の時、ずっとしゃべっているような間柄ではなかったんですけど......お互い、卒業してから時間も経って、真佑はイタリアで、私も(埼玉)上尾で経験を積んで、今はフランクに、バレーのこともプライベートのことも話すようになりましたね」

 岩澤はそう言って、快活な笑顔を見せる。

「真佑が代表でキャプテンをすることになって、彼女は真面目だから『背負いすぎて、自分のプレーができなくならないように』と思って......なんか、もう親目線ですが(笑)。でも、いい意味でオープンになって真佑らしくプレーしている姿があって、自分も一緒に入って楽しく試合ができています。とてもいい雰囲気のチームだと思います!」

 楽しむ姿勢は、相手に脅威となるはずだ。

「自分たちがやるべきことをやって、楽しくやることで勢いをつけられたらって思っています。そうなったら、きっと相手もやりにくい。そこが上位のチームに勝っていくカギになると思っています。楽しくプレーできたら、自ずと体も動くし、声も出るし、プラスのことしかありません。私は下から持ち上げられるように頑張っていきたいです!」

 コートに立ったら、岩澤はレシーブでチームを救う。コート外では、全力でチームに明るさを与える。

「プレーしているほうが楽しかったら、見ているほうもワクワクドキドキすると思うんです。まずは、やっている選手本人たちがバレーを楽しまないと、勝ってもつらいし、負けたらもっとつらい。バレーするのが苦しくなってしまうので。楽しむっていうのは忘れないように」

 岩澤はそう言って、邪気のない笑みを洩らした。

 世界バレー、日本の戦いは8月23日のカメルーン戦で火ぶたが切られる。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

【写真】バレーボール女子・ネーションズリーグフォトギャラリー

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