【ハイキュー‼×SVリーグ】埼玉上尾の濵松明日香が語る「1から10まで覚えている」試合 『ハイキュー‼』好きなのはミドル勢の関係性

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(4)

埼玉上尾メディックス 濵松明日香

(連載3:サントリー甲斐孝太郎は生まれた時からバレー漬け 『ハイキュー‼』は「バレーを始めるきっかけにおすすめ」>>)

(c)古舘春一/集英社 選手写真(c)Saitama ageo medics(c)古舘春一/集英社 選手写真(c)Saitama ageo medicsこの記事に関連する写真を見る

 母親がママさんバレーをしていたことから、少女はコートに通うようになった。小学2年の時には、自身もバレーボールを始めた。それからしばらく、記憶に焼きつけられる出来事はなかったが......。

 濵松明日香は"目覚めの瞬間"を覚えている。

 小学5年の時、初めて練習でAチームのコートに入ることができた。その時の気持ちは今も忘れられない。"やっと試合に出られる!"という物語の始まりのような予感に胸が高鳴った。だが......不思議と、デビュー戦の記憶はない。

 濵松は恵まれた体躯を武器に、中学、高校とミドルブロッカーとして頭角を現わした。そして強豪の久光製薬スプリングス(現・SAGA久光スプリングス)に入団。ただ、2シーズンはほとんど試合に出られていない。

 次の"目覚め"はプロ3年目だった。バレーボールをすることがしんどくなった時期に、家族の支えを背に一念発起。「当時はしんどかったので、家族の存在はデカかったです」と濵松は言う。

 その後、定位置を奪い取って試合で活躍。ブロックよりもスパイクを決めることに高揚した。長いラリーの末、自らブロードで決めると、弾けたようにコートを走り回った。そのたび、彼女は逞しくなっていた。

 2021年には東京五輪をテレビで見て、さらなる目覚めがあった。

「男女のバレーを見ていたんですが、よく知っているはずの選手たちが格好よく見えたんです。この舞台に立ちたい、って思いました」

 そして、2022年にはネーションズリーグの日本代表に選出された。2023年には、AVCカップで優勝の立役者のひとりになった。

「久光時代の、好きな試合があります」

 濵松は白い肌を赤く染め、目を輝かせる。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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