全米ベスト4は錦織だけじゃない。テニスの新星・綿貫陽介とは何者か (2ページ目)

  • 和田哲也●文 text by Wada Tetsuya


 集まったファンに拍手で迎えられ、やや緊張気味にマイクを持つ姿は初々しい。司会者とのやりとりで時折見せる笑顔にはまだ少年の面影さえ残る。しかし、快挙ともいえる全米オープンベスト4の結果について質問されると、表情を引き締め、「残念でした」と切り出した。

「ジュニアの大会に出るのは今年で最後なので、何としても優勝したかったです。ジュニアグランドスラムのタイトルを1つは取りたかったですね。僕は、『今まで日本人選手が実現できなかったことを成し遂げたい』という思いがモチベーションになっています。何年後になるかはわかりませんが、トッププロが集まるグランドスラムで優勝したいですね」

 錦織圭も成し遂げていない大きな目標を掲げる綿貫。JITC(自由が丘インターナショナルテニスカレッジ)とグローバルプロテニスアカデミー(埼玉)を拠点に磨き上げた武器は、本人が「210㎞くらい出ます」と語るサーブと、力みのないフォームで左右に打ち分ける正確なストロークだ。181㎝と日本人としては長身ながら、コート深くから粘り強くボールを返すスタイルを信条としている。

「海外に行くと、僕くらいの身長の選手はたくさんいます。むしろ小柄といっていいかもしれません。特にシニアの大会ではパワーがある選手が多いので、僕もボールを必死に追わなければ勝機はありませんから」

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