ラグビー日本代表「超速アタック」はオールブラックスにも通用した キーマンは新9番
"黒衣軍団"の壁は、やはり高かった──。
10月26日に行なわれた「リポビタンDチャレンジカップ2024」で、ラグビー日本代表(世界ランキング14位)は世界3位の「オールブラックス」ニュージーランド代表に挑んだ。
横浜・日産スタジアムには6万人を超えるラグビーファンが集結。12-14で迎えた前半21分には日本代表が逆転トライを決めて、スタジアムは最高潮の盛り上がりを見せた。しかし、TMO(テレビマッチオフィシャル)の末にトライがキャンセルされると、そこから勢いは一気に失速。その後は前半の残りだけで5トライを奪われ、最終的に19-64の完敗に終わった。
オールブラックス相手に光った藤原忍のパスさばき photo by Saito Kenji 課題は明白だった。
相手のセットプレーや切り返しからのアタックに対する、日本のディフェンス網のもろさだ。オールブラックスから勢いのあるアタックを受けてしまうと、組織ディフェンスはほとんど機能しなかった。11月の欧州遠征に向けて、そこは大きな修正点となるだろう。
「ひとり目はタックルに入れているけど、ふたり目がボールに(プレッシャーに)いけなくて、つながれて、どんどんモメンタム(勢い)を相手に渡してしまい、ディフェンスのバランスを崩されて失点につながるケースが多かった」
反省の弁を口にしたのは、SH藤原忍(スピアーズ船橋・東京ベイ/25歳)だ。
※ポジションの略称=HO(フッカー)、PR(プロップ)、LO(ロック)、FL(フランカー)、No.8(ナンバーエイト)、SH(スクラムハーフ)、SO(スタンドオフ)、CTB(センター)、WTB(ウイング)、FB(フルバック)
ただ、攻撃面では光るものを見せてくれた。
エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が掲げる「超速ラグビー」にふさわしいスピードあるアタックを見せて、序盤はワールドカップ優勝3回の"ラグビー王国"を怯(ひる)ませた。
そのアタックの起点となったのが、身長171cmの小柄な司令塔・藤原だった。
「オールブラックスと対戦して、すごくいい経験になりました。アタックは通用するところがありました!」
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著者プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。