F1新時代、2024年の焦点《前編》 ドライバーのシート争奪戦「2年後の大変革へ」今季前半戦が勝負 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 それでも、フェラーリやメルセデスAMGといったトップチームが2023年よりもレッドブルに近い場所にいれば、レース展開のなかで戦略による逆転や波乱に乗じた優勝を果たせるチャンスは格段に増えるはずです。

 そうなれば、マックス・フェルスタッペンの4連覇も決して容易ではなくなります。過去2年間よりプレッシャーのかかる状況でも、成熟したフェルスタッペンがミスのない完璧なレース運びを見せるのか、そこに一矢報いるドライバーとチームが現れるのか、楽しみにしたいと思います。

【2】トップ3からトップ5へ。F1サーカスは新・戦国時代

 昨年は前半戦にアストンマーティン、後半戦にマクラーレンが躍進を見せ、トップ5チームが表彰台争いを繰り広げるという展開になりました。

 レッドブルの独走ばかりが注目されがちでしたが、5チームが常に表彰台を争うというのは近年稀に見る大接戦。トップ3(レッドブル、フェラーリ、メルセデスAMG)以外のチームがこれだけ上位争いに加わるというのは、パワーユニットが導入された過去10年ではなかったことです。

 つまり、レッドブルとフェルスタッペンの独走を除けば、2023年はF1史に残るほどの接戦だったことになります。

 そしてこの状況は、2024年も変わらないどころか、さらに接戦になると予想されます。これはもともと、接戦状況を生み出すことを想定して決めた「2022年規定」がうまく機能しているとも言えます。そのレギュレーションに大きな変更がないため、各チームのマシンはさらに"正解"に向かって集約していくからです。

 昨年マシン開発に失敗したマクラーレンは、開幕前の時点でそれを察知して開発体制を刷新し、後半戦に大躍進を果たしました。しかし、実際に投入した大型アップグレードはオーストリア(第10戦)とシンガポール(第16戦)の2回だけで、それを確実に成功させたことが躍進につながりました。

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