中野信治に聞くなぜフェルスタッペンはここまで強いのか?レッドブルのマシン特性から考察 (3ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【ペレスは自分で自分を追い込んだ】

 実際、シーズンが開幕すると、ペレスがフェルスタッペンに負けないくらいの活躍を見せました。それはシーズン序盤、ペレスが得意とする市街地コースでのレースが続いたことも大きかった。平均速度が低く、高速コーナーのない市街地コースでは、ペレスとフェルスタッペンの間に大きなタイム差はありませんでした。ところが中盤戦に入り、ロードコースでのレースが続くと、徐々にフェルスタッペンが強さを発揮してきました。

 その理由は明白です。やっぱり普通のサーキットに来てしまうと、コーナリングスピードがどんどん上がってくるので、ドライバーのもともと持っているスピード感覚やマシンコントロールの差が出てくるんです。その微妙な差のままでシーズンが進んでいくのかなと予想していたのですが、ペレスが普通のサーキットでミスを繰り返すようになってしまった。きっかけは、第7戦のモナコGPだったと思います。

 ペレスは得意とする市街地コースのモナコGPの予選でクラッシュ。決勝は最後尾スタートとなり、ノーポイントに終わってしまいます。

 ペレスに速さがないわけではありませんし、もともと強いドライバーです。だから、ゆっくりと自信と余裕をとり戻していけばよかった。でも、失ったポイントを早くとり戻さなければならないという焦りと、フェルスタッペンとのチャンピオン争いから脱落してはいけないプレッシャーにさいなまれ、ペレスはそれ以降にミスを連発。メンタルが少しずつむしばまれていったように見えました。結局、自分で自分を追い込んでいってしまったんです。

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