ホンダが「どうせダメ」といわれた
イギリスGPで示した0.3秒の進化

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 シルバーストンは空力サーキットであると同時に、全開率が66%を超えるパワーサーキットでもある。今年はマシンの進化によって高速コーナーを全開で駆け抜けられるようになり、もはや実質的にコーナーではなくなったことで、パワーサーキットの性格はさらに強くなった。改良型パワーユニットを投入してきたメルセデスAMGがフェラーリに大きな差をつけ、圧勝した理由もそこにあった。

シルバーストンで予選9位を獲得したストフェル・バンドーンシルバーストンで予選9位を獲得したストフェル・バンドーン そのシルバーストンで行なわれる第10戦・イギリスGPは、マクラーレン・ホンダにとって地元レースでありながらも、ある意味では「ダメージリミテーションのレース」――つまり傷口を最小限に抑えるためのレースだと思われていた。

 特にフェルナンド・アロンソのマシンは前戦のオーストリアで投入したばかりの新品のMGU-H(※)を突発的なトラブルで失っていただけに、さらなる新品投入によるグリッド降格ペナルティは避けられない状況だった。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

「いずれにしても僕らはこの2戦のうちにMGU-Hは交換しなければならないし、それであれば今週のうちにもっとコンポーネントを交換し、戦略的にペナルティを消化しておくことを考えるべきだ。次のハンガリーGPのほうがいいリザルトが期待できるわけだからね」(アロンソ)

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