ライバルも祝福。シーズン9人目の勝者は7年ぶりのドヴィツィオーゾ (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「自分の特徴は、最初のレースから速いとか、1周目からずば抜けているというタイプじゃなくて、一歩一歩確実に行くスタイル」

 そんなふうに自己分析するとおり、その沈着冷静な性格や分析的な視点は、この人ならではの武器である。今年のシーズン半ばに8人の異なる選手が次々と優勝を飾っていたときに、9人目の優勝者としてドヴィツィオーゾの名前を皆が揃って挙げたのは当然のことだ。

 だが、そのときにも本人は、「皆が自分の名前を挙げてくれるのはうれしいけど、プレッシャーもあるよね。ファクトリーライダーだから自分の名前が挙がるのは当然かもしれないけど、いつも近いところまで行きながら勝てない。もちろん、勝つためにいつもがんばってるけど、そうそう思いどおりにはいかないよ」と、落ち着いた口調で受け流した。

 今回の優勝により、ようやく皆の指名に結果で応えたわけだが、それに対する自分自身の受け止め方は、やはり彼ならではの冷静なものだった。

「実際のところは、今回の勝利はメディア(の注目)よりも自分にとって重要なことなんだ。ライダーは全員が勝ちたいと思っているし、皆がその喜びを味わいたいと思っている。僕たちはシーズンをよく戦っていくためのベースもあった。(チームメイトのイアンノーネが優勝した)オーストリアでは勝てると思っていたし、勝てるバイクに仕上がっていたけれども、リアタイヤの選択を間違えてすごく悔しかった。でも、シーズン終盤にこうやって勝つことができて、本当によかった」

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