【F1】残った遺恨。チームメイト同士のバトルの難しさ示したマレーシアGP (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 たしかにチームの利益を考えれば、それは正しい行為だったかもしれない。だが、ファンにとって最高の興奮を与えてくれたのは、勝利への欲求に正直に行動し、最高のオーバーテイクを見せてくれたベッテルの方だった。

 チームにとってはあるまじき行為だったかもしれないが、マレーシアGPで見せたベッテルの姿は、これぞ勝利を希求するレーシングドライバーの本能、とでも言うべきものだった。彼にチームの指示を無視させたむき出しの闘争心が、我々に感動を与えてくれたのだ。少なくとも、我々には彼の行為を非難する権利はないのではないだろうか。

 表彰台に登壇した3人には、誰ひとりとして笑顔はなかった。何とも言えないギクシャクとした空気が流れる異様な表彰台だった。それを考えると、レッドブルのふたりとメルセデスAMGのふたりのどちらが正しかったのだろうか。

 いずれにしても、このマレーシアGPの戦いが今後に向けて大きなしこりを残すことになったことは間違いない。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る