波乱ムードの関屋記念。絶好調ジョッキーが人気急落馬を勝利に導く (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 まずは、出走馬で唯一連勝中の身にあるオールフォーラヴ(牝4歳)。今回のレースで、3連勝まで期待していい能力と勢いを感じています。

 準オープンの錦S(5月12日/京都・芝1600m)、リステッド競走のオープン特別・米子S(6月16日/阪神・芝1600m)と連勝してきたオールフォーラヴ。僕がとりわけ評価しているのは、錦Sを勝った内容です。

 1分31秒6という勝ち時計は重賞でも十分に通用するものですし、以前と違って、馬群の外から速い上がりを繰り出して差し切った点に成長の跡を感じました。新潟と同じく最後の直線が平坦な京都で、こういったパフォーマンスを見せたことが、より好印象として残っています。

 もう1頭、ソーグリッタリング(牡5歳)にも注目しています。前走のGIIIエプソムC(6月9日/東京・芝1800m)で3着に終わって連勝は止まってしまいましたが、今年に入ってからの成長ぶりには一目置いています。

 エプソムCは雨とスローペースの影響で、明らかに先行有利の競馬になりました。それでもソーグリッタリングは、1、2着馬よりも一列後ろのポジションから、最後までしっかり伸びてきて3着。負けて強しの内容でした。

 このレースの前には、リステッド競走のオープン特別2戦を連勝。明け5歳を迎えて、本格化したのは明らかです。また、この夏は小倉を主戦場とする浜中俊騎手が、この馬のために新潟まで遠征してくることも、食指が動かされる材料となりますね。

 その他、人気になりそうなのは、エプソムC2着のサラキア(牝4歳)や、昨秋のGIマイルCS(京都・芝1600m)で5着と奮闘したミッキーグローリー(牡6歳)あたりでしょうか。

 ただ、サラキアは先に触れたとおり、エプソムCでは前有利の流れに助けられた部分があります。ハナを切るという判断も含めて、鞍上がうまく乗った結果、という印象も強いです。はたして、今回はどうか......。

 ミッキーグローリーも、クリストフ・ルメール騎手が主戦場の札幌から遠征してくるとあって一定の評価は必要ですが、今回は何度か出走予定が白紙になっての長期休養明け。その点を考慮すると、有力な1頭ではありますが、付け入る隙があるのではないかと見ています。

 こうしてみると、人気の各馬には一長一短あって、絶対的な存在は見当たりません。つまり、今年の関屋記念は波乱が起きても不思議ではありません。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る