中高年の夢のせて。スプリンターズSは
7歳ラインミーティアで大勝負
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
今週は、下半期の「スプリント王決定戦」となるGIスプリンターズS(10月1日/中山・芝1200m)が行なわれます。
以前は有馬記念の前週に行なわれていて、年の瀬を知らせる名物レースでした。それが今では、秋のGIシーズン開幕を告げるレースとして、すっかり定着しましたね。
年末に開催されていた頃は、マイルCS(京都・芝1600m)よりもあとに行なわれていたため、マイラーの参戦も少なからずありましたが、最近は夏のスプリント路線が整備されたこともあって、よりスプリント色が濃いメンバーがそろうようになりました。そして今年も、夏のスプリント戦線で活躍してきた馬が多く出走してきています。
一方で、実績馬のほとんどは夏の休養明けで、春からのぶっつけで挑んできます。これも、開催時期が変更されたことによる影響でしょうね。その分、馬券予想はかなり難しくなりました。
さて今回、まず注目していたのは、昨年のGI高松宮記念(中京・芝1200m)の勝ち馬で、昨秋のスプリンターズSで1番人気に推されたビッグアーサー(牡6歳)でした。素質、能力の高さで言えば、この馬が一番だと思うからです。
昨年のレースでは、1番枠のメリットを生かせず、逆にそれが仇(あだ)となって12着と惨敗を喫しました。それだけに、リベンジを狙う今年にかける思いは強いはず、とも考えていました――が、先週までの中間の調教を見てみると、どうもいい頃の雰囲気が感じられませんでした。一頓挫あった影響が長引いているのでしょうか......。
はたして、直前の追い切りのあと、どこまで変わってくるのか。古馬のGI馬なので、大一番の前であることを自ら感じて身体を作ってくるかもしれませんが、少なくともパドックを見る前の現時点では、マイナスイメージのほうが強いですね。
このビッグアーサーはおよそ9カ月半ぶりのレースとなりますが、例年どおり、他の実績馬も"ぶっつけ本番"という馬がほとんど。今春の高松宮記念(3月26日)を制したセイウンコウセイ(牡4歳)は、その後に函館スプリントS(6月18日/函館・芝1200m)を使っていますが、今回はそれ以来となる約3カ月半の休み明け。しかも、その前走は不可解な敗れ方(4着)をしているのが気になります。
また、高松宮記念2着のレッツゴードンキ(牝5歳)、3着レッドファルクス(牡6歳)も、およそ3~4カ月以上の休み明け。前者はGIヴィクトリアマイル(11着。5月14日/東京・芝1600m)、後者はGI安田記念(3着。6月4日/東京・芝1600m)以来のレースとなります。
おそらく、いずれもこのあとのローテーション(マイルCSや香港遠征)を考えてのことだと思いますが、休み明けというのは、やはり心配材料になりますね。
とはいえ、GI勝ちの実績とスプリント適性が高いこの2頭は、普通の状態であれば、ここでは地力上位の存在です。半年以下の休養なら、今の調教施設とその技術を考えれば、いきなり力は出せるでしょう。よほどのことがない限り、有力馬として挙げられると思います。
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