これぞ「正攻法」。君は中京記念のオサイチジョージを知っているか? (3ページ目)
その後、オサイチジョージはGI戦線へと駒を進め、安田記念(東京・芝1600m)でオグリキャップに挑戦する。結果は、オグリキャップが完勝し、オサイチジョージは2馬身+クビ差の3着に敗れた。
しかし、陣営は悲観していなかった。なぜなら、このときのオサイチジョージは、自身が最も得意とする"正攻法"の競馬ではなく、オグリキャップの後ろから追い込むという"よそ行き"の競馬で敗れたからだ。
そして、続く宝塚記念では道中2番手を追走。いつもの"正攻法"の競馬を実践し、今度はオグリキャップを3馬身半も引き離して快勝した。
ただ、レース後は「なぜオグリは負けたのか」という話題で持ち切りだった。勝ったオサイチジョージより、負けたオグリキャップのほうに......というよりも、完全にメディアやファンの関心はその1点に集中してしまった。
オグリキャップが負けた理由ははっきりしていた。"正攻法"の競馬をしたときの、オサイチジョージが強かったからだ。
その後もオサイチジョージは現役を続行したが、以降は8戦して、二度と勝ち負けを演じることはなかった。馬券圏内に絡むことさえ、一度もなかった。
まるで「あの宝塚記念で燃え尽きたようだ」と、今なお語り継がれている。
それでも、"正攻法"で勝つ競馬の強さ、その代表格であるオサイチジョージのことは、多くの人々が覚えているだろう。そして私も、中京記念というと、なぜか同馬のことを思い出す。
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