39年ぶりの栄冠へ。老舗牧場が宝塚記念で夢を託す、アンビシャス (2ページ目)

  • 河合 力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 まだGI勝利はなくとも、実力的には十分にその器である――それを証明するだけの内容と結果を、まさにこのふたつのレースで示した。そして、迎える宝塚記念は"真のタイトルホルダー"となるための、絶好の機会と言える。

 遠い北海道の地でも、同馬の初GI制覇に期待を寄せる人たちがいる。アンビシャスを生産した辻牧場(北海道浦河町)である。

 辻牧場は、重賞2勝のアドマイヤデウス(牡5歳)や、地方競馬所属で交流GIを制したハッピースプリント(牡5歳)など、コンスタントに活躍馬を送り出している老舗牧場。2016年の生産牧場ランキングでは、12位と好調だ。

 ただ、JRAにおける芝GI級のレースを制したのは、1977年のインターグロリア()まで遡(さかのぼ)らなければならない。それだけに、牧場関係者のアンビシャスにかける期待は大きい。辻牧場の辻助(たすく)レーシングマネジャーは、こう語る。
※インターグロリアは、1977年の桜花賞、エリザベス女王杯を制覇。当時はグレード制導入前で「GI」という明確な格付けはされていなかった。

「生産馬が芝のGIを制したのは、もうずいぶん前のこと。まずは"無事に"と思っていますが、やはりアンビシャスが宝塚記念を勝ってくれたらうれしいです」

 辻牧場にとって、希望の星となるアンビシャス。待望のGI制覇へ期待は膨らむばかりだが、牧場で生まれた頃の同馬は、どんなふうに見られていたのだろうか。辻氏が当時を振り返る。

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