「自分は下手だ」と思っている渋野日向子は今季、まだまだ強くなる (3ページ目)

  • 水野光博●構成 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

 たしかに、米ツアー参戦を果たし、ホームシックにかかって調子を崩す選手もいます。男子プロが、25、26歳で渡米して、スランプに陥り、復調までに数年を要して、一番脂の乗り切っている時期を棒に振ってしまう――そうした例がないわけではありません。

 しかし、渋野は今21歳。失敗しても、立ち直れる時間的な猶予は十分にあります。だから、できるだけ早くアメリカに挑戦すべきだ、と個人的には思います。

 翻(ひるがえ)って、今年はオリンピックイヤーなので、もし米ツアーに参戦した場合、どこまで世界ランキングのポイントを稼げるのか、という不安と背中合わせになるリスクがありました。その点は、米ツアー回避のメリットと言えるかもしれません。オリンピック強化選手となった渋野は、舞台となる霞ヶ関カンツリー倶楽部で、いつでも練習できるという権利も持っていますしね。

 東京五輪に向けて改修された霞ヶ関CCは、バンカーや池が多く、どちらかというと、アメリカのフロリダにあるコースに似ていると言われています。我慢するゴルフではなく、渋野は彼女らしいバーディーを積み重ねていくゴルフを展開し、それがうまくかみ合えば、好結果を出せるコースだと思います。国内で戦うことを選択した今、そのコースでの練習を重ねて、国内に残ったメリットを有効に活用してほしいものです。

 東京五輪におけるメダル争いを考えると、今は韓国人選手以外では、飛び抜けて強い選手はいません。欧州各国が何年も前から力を入れているとはいえ、日本人選手にもメダル獲得のチャンスはあるでしょう。もちろん、その中に渋野は入っていると思います。

 普段どおりのプレーができれば、3位以内に入れる力はあります。金メダルの可能性だって、決してゼロではありません。

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