卒業目前のプロ転向に懸念。PGAツアーが「ドラフト制度」導入を検討 (2ページ目)

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 こうして、ソーンベリーは年明けからプロとして活動。スポンサー推薦などでPGAツアーやウェブ・ドット・コムツアーへの出場機会を得て、そのチャンスを生かしてツアーメンバーへの道を目指していくことになる。

 ソーンベリーの今回の決断を受けて、頭をよぎったことがある。それは、現在PGAツアーで検討されている"ドラフト制度"がすでにあったら、ソーンベリーの歩む道も違っていたかもしれない、ということだ。

 PGAツアーでは今、大学ゴルフで活躍した選手に、PGAツアー傘下のツアーに出場権を付与することを計画しているという。米ゴルフ雑誌の取材に対して、PGAツアーの担当者がこんな話をしている。

「野球やフットボール、バスケットボールなど、NCAAで活躍した選手たちは、おおよそドラフトによってプロ入りする。それによって、大学卒業後の働き場所であり、戦える場所が確約される。ゴルフ界も同様に、大学で実績を残した選手に対して、卒業後に"戦う舞台"を準備してあげれば、学生たちは在学中、もっとプレーや勉学に集中することができるのではないか」

 この話が実現すれば、大学側のメリットも大きい。最終学年を迎えた実力のある選手が、卒業するまで心置きなく在学できる環境となり、最後の春のリーグ戦にも出場してくれる可能性が高まるからだ。

 この"ドラフト制度"で選手の評価対象となるのは、あくまでも大学リーグでのプレーで、アマチュアランキングではない。その理由としては、"学業との両立"という主旨が多分に含まれているからだ。

 アメリカの大学では、スポーツ推薦などで入学してきた選手であっても、きちんと勉学することが要求される。その分、"卒業する"ということは、単なる"学位"以上の価値があるのだ。

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