ツアー初優勝でひと皮むけた青木瀬令奈。「次は2勝目、そして五輪に」 (6ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 写真●村上庄吾 photo by Murakami Shogo


 青木がゴルフを始めた小学校時代、ゴルフ場に行くと「なぜゴルフ場に子供がいるのか」と白い眼で見られたという。土日には、「ここは子供のくるところじゃないよ」と言われたこともあった。ゴルフ場にジュニア料金はなく、クラブもジュニア用はアメリカ製しかなかった。しかし、宮里が18歳の時、プロ転向初戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントで優勝したことで環境がガラリと変わった。

「藍さんが出てきて、優勝したおかげでいろんな人の見方が変わったんです。ジュニアを応援しようということでレッスン会とか、キッズ用のクラブができて、大きく環境を変えてくれました。今、戦っている多くの選手は藍さんがいたからプロになれたんだと思います。

 私がそこまで大きな影響を与えるのは無理かもしれないですが、何か後世に残るようなことができたらいいなって思います。もちろんプレーヤーとしても尊敬しています。昨年、TOTO(ジャパンクラシック)で一緒に回らせていただく機会があったのですが、他の選手とは違いましたね。たとえばミスショットすると、普通は選手同士、黙ってしまうんですが、藍さんは『OK,fine』とか言ってくれて、そういう気遣いですとか、人間的にも大きなところがすごい。私もそういう存在になりたいなって思います」

 背格好が変わらない宮里が世界で活躍してきた姿は、上を目指す青木に勇気を与えてくれるのだろう。これから何度も優勝争いを繰り返して、勝つ確率を高めていければ、プレーヤーとして大きな影響力を持つ選手になれる。積み重ねてきたものへの自信が、きっとそう導いてくれるはずだ。

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